「Creators Guide」は、メタバースプラットフォーム「cluster」で「つくる」ことにチャレンジしてみたい方に向けた導入ガイドです。
Creators Guideで読むことができるすべての情報はこちらにまとめています。
Contents
今回つくるもの
今回はワールドに効果音を導入する方法を紹介します。
効果音をつけることで、見た目だけではなく、音が加わった情報量の多い体験をもたらすことができます。
具体的には、UnityのAudio Sourceの機能やCreator Kitの「Play Audio Source Gimmick」を用いて、キャラクターの足音やものにぶつかる音、スタートボタンを押す音や爆発音などが鳴るようにする方法を紹介します。
まずは音なし/音あり(0:10:00〜)のワールドの動画を用意してみました。
いかがでしょうか。
効果音があることでワールド体験が豪華な印象になったと思います!
効果音もあるフリー素材サイト
この記事ではいくつかのフリー素材の効果音を利用します。
効果音がある主なフリー素材サイト
- 効果音ラボ https://soundeffect-lab.info/
- 魔王魂 効果音 https://maou.audio/category/se/
- DOVA – SYNDROME 効果音素材一覧 https://dova-s.jp/se/
- On-Jin ~音人~ https://on-jin.com/
音源は各Webサイトの利用規約をしっかり読んだ上で利用しましょう。
事前準備
まず、clusterにワールドをアップロードできる環境を事前に用意してください。
すぐに準備したい方は下記の記事を参考にテンプレートワールドを導入するのがおすすめです。
一から準備をしたい方はこちらを参考にしてください。
音が鳴るようにする
まずは音が鳴るように設定していきます。
音を鳴らすためには「Audio Source」というコンポーネントを追加する必要があります。
今回は空のGameObjectに追加していきます。
- まずは、Hierarchy内で「Create Empty」を選択して、空のGameObjectを作成します。

- 作成した「GameObject」を選択して「Inspector」から「Add Component > Audio Source」を追加します。

ここから音が鳴るようにAudio Sourceに鳴らしたい音を設定していきます。
- パラメータの「AudioClip」の欄の右端にある◎のようなアイコンを左クリックすると、「Select AudioClip」というウィンドウが開きます。このリストの中から、ワールドに流したい音を選択します。

これで音が鳴るようになりました!
音の範囲を設定する
今回は、ワールド全体に流れるBGMではなく効果音を設定したいので、プレイヤーの近くのみで聞こえるように設定していきます。
特定の距離で聞こえるようにするためには「Spatial Blend」を設定していきます。
値が「0」であるとどの位置にあっても同じ音が聞こえます(2Dサウンド)が、値が「1」に近づくにつれて距離関係の影響を受ける度合いが高くなります(3Dサウンド)。つまり値を「1」に近づけることで特定の範囲で聞こえるようになっていきます。
「Volume Rolloff」で音量がどのように変化するかを制御することができます。今回は近づくにつれて徐々に大きくなってほしいので、パラメータは「Linear Rolloff」を選択しました。

詳しい設定について公式マニュアルを参照してください。
このように効果音の範囲を決めることができました。
オブジェクトの表示、生成に音をつける

オブジェクトにAudio Sourceをつけ、Play on Awakeにチェックを入れることで、そのオブジェクトが
- 非表示から表示
- 生成される
という場合に音が一度流れるようになります。
この機能を使って、オブジェクトの表示、生成に音をつけてみましょう。
まず、オブジェクトを表示、生成する仕組みを用意します。
例として、びっくり箱をつくります。
https://creator.cluster.mu/2020/06/25/display_temporarily/ を参考に、箱をクリックするとおばけが現れるようにします。
今回は下記の素材を利用して作成しました。
- Hierarchyで次のようにオブジェクトを作成しましょう。Modelにはおばけの3Dモデルが入ります。
- Ghostオブジェクトはチェックマークを外して非表示にしておきます。

- JackInTheBoxにAnimationを作成し、Ghostが数秒間だけ表示されるようにします。

- Animatorで遷移も設定しておきましょう。Openというトリガーでアニメーションに移るようにします。


- 次に、Switchに「Interact Item Trigger」を付けます。
- 「Target」はThis、「Key」はOpenにしてください。

- 続いて「Set Animator Value Gimmick」を設定しましょう。「Target」をItemにして「Item」にSwitchを指定します。
- Interact Item Triggerから送られたOpenというメッセージを受けて、AnimatorのOpenトリガーを動かします。

- 最後に、おばけのオブジェクトにAudio Sourceを追加し、効果音を設定しましょう。
- Audio SourceのPlay On Awakeという項目にチェックを付けると、おばけが現れると同時に音が鳴ります。

クリックすることで表示と同時に音を鳴らすことができました。
魔法や爆発といった表示、生成で演出できるオブジェクトには上記のような設定で効果音をつけることができます。
Creator Kitでアクションに合わせて音を鳴らす

Creator Kitを使うとオブジェクトにPlay Audio Source Gimmickコンポーネントをつけ、Signalを送ることで音を鳴らすことができます。Triggerと組み合わせればアイテムをクリック、掴む、使う、手放すことでSignalを送ることができます。
例えばボールを掴んだときに音が鳴るようにする場合、次のようになります。
- まず、Hierarchyを右クリックして「Create Empty」で空のオブジェクトを作成し、名前を「Ball」にしましょう。
- 「Ball」を右クリックして「3D Object」>「Sphere」を追加するか、お好きな3Dモデルを入れてください。

- 続いてBallオブジェクトにGrabbable Itemを付けて掴めるようにします(このときMovable Itemが同時に付きます)。

- 次にOn Grab Item Triggerを付け、「Target」をThisに、「Key」をGrabに設定しましょう。こうすることで、掴んだときに「Grab」というSignalを伝えることができます。

最後にAudio SourceとPlay Audio Source Gimmickを付けます。
- 今回は「出現したときに鳴る」のではなく「トリガーを受け取って鳴る」のでPlay On Awakeのチェックは外しておきます。
- Play Audio Source Gimmickで「Target」にItemを、「Item」に「Ball」を指定します(右側の◎ボタンから設定します)。
- 「Key」に先程と同じ「Grab」を指定することで、「Grab」というSignalを受け取って音を鳴らすことができます。

足音をつける

On Collide Item Triggerと組み合わせて特定の場所を歩いたときに足音が鳴るようにします。
- Cubeオブジェクトを作成し、Scaleの調整で平たく(Yをだいたい0.1くらい)してから次のようにOn Collide Item Triggerを設定します。CubeのBox ColliderはIs Triggerにチェックを入れてください。


- Audio Sourceにも同じKeyを受け取るようにPlay Audio Source Gimmickを設定しましょう。

四角いオブジェクトを踏むと効果音が鳴り、足音を再現することができます。
※場合によってはUnityでのプレビュー時に音が鳴らないことがあります。アップロードして確認してみてください。
応用編として、Item Trigger Lotteryを使っていくつかの足音がランダムで鳴るようにしてみましょう。同じ音しか鳴らない場合より自然な足音を再現することができます。
Item Trigger LotteryがSignalを受け取ると、いくつかのメッセージの中からランダムで一つを発行します。

- まず、上でOn Collide Item Triggerを付けた板のオブジェクトにItem Trigger Lotteryを追加してください。
- On Collide Item Triggerが発行するEnterというSignalをItem Trigger Lotteryが受け取るように変更しましょう。
- Item Trigger LotteryのSizeを変更して項目を追加し、Step1、Step2、Step3…というSignalを発行するようにします。それぞれのWeightを1にしておくと、それぞれ同じ確率で選択されるようになります。
- 先程と同様にそれぞれのSignalを受け取るPlay Audio Source Gimmickを作成すると、ランダムでいずれかの音が鳴るようになります。


入室音をつける
誰かがワールドに入室したときに音を鳴らします。会話に夢中になっていても新しく入ってきた人に気付いて一緒に遊びやすくなります。
- 空のオブジェクトにAudio SourceとPlay Audio Source Gimmickに加え、On Join Player Triggerを付けることで実現できます。
- Audio SourceはPlay On Awakeのチェックを外してください。


このように、clusterのワールドでは様々な方法で効果音を鳴らすことができます。
今回紹介したAudio SourceとPlay Audio Source Gimmickをうまく使って、場面にあわせた効果音で盛り上げてみましょう!
最後に公式による記事や多くのクリエイターの皆さんによるドキュメントやコミュニティを紹介します。
ぜひ活用して自分だけのワールドを制作してみましょう!
▼ 「Cluster Creator Kit」の全てが分かる公式ドキュメント
Cluster Creator Kit ドキュメント┆https://docs.cluster.mu/creatorkit/
▼ クリエイターによる投稿記事まとめ
ワールド制作部┆https://note.com/cluster_official/m/m1fd772ab8f45
アバター制作部┆https://note.com/cluster_official/m/m6b18e343f35c
イベント制作部┆https://note.com/cluster_official/m/m7155e6f6887f
▼ 分からないことがあればコミュニティを活用してみましょう!
Cluster Creator Community Discord┆https://discord.gg/DHQmAfDhkt