ブラウザでテクスチャ変更できるツールから映像制作まで『VRM Meetup #2 VRM LT大会』イベントレポート

clusterでも採用されている、3Dアバター向けのファイル形式「VRM」。
clusterではVRM1.0の対応に向けて、鋭意開発を進めています(2023年11月現在)。
本メディアCreators Guideでは、これまで「ワールド」に関する情報を中心に発信を行ってきましたが、今後は「VRM」をはじめとしたアバター関連の情報発信にも徐々に力を入れていくことを検討しています。

そこで今回は、VRMの普及と統一規格の策定を目的とした一般社団法人VRMコンソーシアムが主催した「VRM Meetup #2 VRM LT大会」の模様を簡単にレポートします。

clusterのPM・htomineさんもVRMコンソーシアムのメンバーです

今回のMeetupはLT大会。VRMを使うアプリケーションの開発者、VRMアバター制作者など5名がそれぞれの活動をプレゼンしました。

VRM AnimationファイルをBlenderで作る様子の発表|どようび さん

Unityエンジニアのどようびさんの発表は2023年7月に発表されたVRM Animationに関するもの。
どようびさんが開発しているBlenderのアドオン「VRM Add-on for Blender」を使ってVRM Animationをつくる様子を動画で紹介。

動画は下記で公開されているので、ひとつずつ手順を確認しながら試すことができます!

ブラウザでVRMのテクスチャを編集ツール「VRMEditorTools」を作ってみた|t-furu さん

ブラウザでVRMのテクスチャを変更できるツールをつくったt-furuさん。
VRMはWebフレンドリーでシンプル、軽いのが特徴なのに、改変にはblenderやUnityを必要としてしまうのが、もったいないのではないかの思いから、このツールをつくったそうです。ツールの紹介や、開発の中で気づいたことについて発表されました。
ツールはウェブ上で公開されているので、興味ある方はぜひ触ってみてください!

多言語対応したことで、ブラジルやロシア、メキシコ、USからも利用する人がいたというのが印象的なエピソードでした。別Webツールも生まれたそうで、便利なツールがどんどん生まれるとより良さそうですね。

発表スライドは下記で公開されているので、詳細が気になる方はぜひご覧ください。

何も分からないMaterial list|REIRO さん

VRoid StudioでVRMアバター作成等をされているREIROさんはVRMのMaterial listについて、自身の経験を交えてclsuter等などでの使用遍歴などを発表。
最初は調べても情報がほとんど出てこなかったところから、有識者に聞いて回ったというエピソードを紹介。2023年4月あたりからはclusterのユーザーの中でも知見が共有されるようになり、多くの人がMaterial listを知るようになり、徐々に使われるようになっていったそうです。

最後にVRM1.0で使ってみた感想として、操作画面は変わったものの使いやすくなっており、clsuterのVRM1.0対応を待ち望んでいると語られました。

アバター映像制作 サクッと誰でも漫画・アニメがつくれるツール「ケヤキスタジオ」|上田雄大 さん

Unityを使ったXR開発をしている上田さんは、開発したアバターとモーションキャプチャーを使って映像制作をできるアプリ「ケヤキスタジオ」を紹介。

アバターを使った映像制作は、一人でも、絵を描けなくても、アニメや漫画をつくることができます。スキルやお金がなくても空想を映像化できるという点は、多くの人に色々な可能性をもたらしてくれるのではないかと思います。
大学生がアプリを使って自主制作した映像も紹介。登場キャラが戦闘を行うアクションシーンも一人で制作したというエピソードは、アバターを使った映像制作の可能性を感じることができます。

ミラティブのアバターVRM化の紹介|makisin さん

スマホでアバター配信ができるプラットフォーム「Mirrativ」。
これまでMirrativアプリ内で使えた、カスタマイズ可能なオリジナルアバターをclusterなどで使えるように独自フォーマット・シェーダーをVRMに変換できるようにしたそうです。

いかにVRMで再現するかが細かく紹介され、非常に参考になりそうなプレゼンでした。

最後はVRMコンソーシアム技術委員会 技術委員長、株式会社バーチャルキャスト CTOのMIROさんが「VRMの今後について」と題して発表。

まずは、VRMが抱える課題を次の3つに分類。

  • 「ドキュメントが足りない」「VRMを扱うライブラリが少ない」「アプリが少ない」などのエコシステムの課題
  • 「揺れものの設定がめんどくさい」「Unityでうまく読み込めない」「こういうことできるAPIないの?」などのUniVRM実装の課題
  • 「こういうシェーダ表現が欲しい」「こういう情報を埋め込みたい」などのVRM仕様の課題

これらの課題に対して下記のように取り組みを進めていくことを話しました。

  • VRMエコシステムの課題→VRM meetuoを含めコミュニケーションを増やしエコシステムの拡大を目指す
  • UniVRM実装の課題→粛々と実装改善を進めていく。改善提案issueも歓迎

中でも、イベントの中でもVRM仕様の課題について中心的に話されました。
必要だから早くつくるぞと一気につくり切ったVRM 0.x。出してみて色々課題が出てきて、がっつり検討を行いリリースしたのがVRM1.0。
その中で仕様の非互換性が発生し、VRM1.0対応のアプリが少ないというのが現状です。VRM1.0のエコシステムは徐々に広がりつつあり、その先は非互換の変更は行わず、仕様の拡張を継続していくと話しました。

さらにVRM仕様の持つ課題として下記のような例をあげ、

  • 表現力・メタ情報
    • 揺れものの表現力
    • MToonのシェーダ表現力
    • Expressionのボーン制御
    • デフォルトアニメーションのような機構
    • キャラクターのスタイル(性格付け)
  • アイテム・カスタマイズ
    • アクセサリーの装着機構
    • テクスチャのカスタマイズ
    • マテリアルカラーのカスタマイズ
    • 服を実現する機構
  • 互換性
    • ボーンの回転軸の定義

直近は「揺れものの表現力」にフォーカスしていくと話しました
現状、多く出る「Magica Cloth」使いたいなどの声に対して、「VRMの仕様とする難しさ(オープンソースの実装が可能か、Unity以外での実装は可能か、VR/モバイルでも処理可能か、汎用性は高いか、コスト・ベネフィット比は高いか 等)」に向き合うと、手段から考えるのではなく「自然に揺れる揺れものを使いたい」という課題を解決できるようにするために最適な手段を探索していきたいとのこと。
これは揺れものではなくすべての課題でも同様で、そのためにまず重要なのは「皆が抱えている課題(困りごと)を収集すること」だと話しました。

また、前回のVRM meetupで紹介したVRM Animationも、大きな問題がなかったため、リリース準備に着手していくと話しました。

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