Blenderの「モディファイアー」でモデルを変形・調整しよう【基本編】

Blenderでは「モディファイアー」という機能を使って、制作中のモデルを変化させることができます。
モデルを直接編集するのとは異なり、調整・追加・削除をあとから何度でもおこなうことができるので、大きく変形させる場合であっても気軽に試してみることができます。

Blenderには多数のモディファイアーが用意されていますが、今回はその中でも特によく使うものをいくつか紹介していきます。

ここではBlender3.3を使って解説します。他のバージョンでは画面表示や機能などが異なる場合があります。

モディファイアーを適用したいオブジェクトを選択し、「プロパティ」の中からスパナのアイコンの「モディファイアープロパティ」を開きます。
「モディファイアーを追加」から種類を選択してモディファイアーを追加します。

共通項目

追加したモディファイアーの名前の横にあるアイコンは、有効(青)・無効(グレー)を切り替えることで、モディファイアーを反映したモデルの表示を切り替えることができます。

  • 三角形のアイコン:編集モードでモディファイアー反映後の面・辺・頂点を選択できるようになります。
  • 四角形のアイコン:編集モードでモディファイアー反映後のメッシュを表示します。
  • モニターのアイコン:モディファイアー反映後のメッシュを表示します。
  • カメラのアイコン:レンダリング時にモディファイアーを反映します。

また、アイコンの横にある三角形から「適用」を選択する(またはモディファイアーの上にカーソルを合わせて『Ctrl+A』)ことで、モディファイアーを「適用」することができます。適用するとメッシュがモディファイアー反映後のものに置き換わり、モディファイアーは削除されます。

「適用」するとモディファイアーによって生成されたメッシュを通常のメッシュとして編集することができるようになります。
モディファイアーでは難しい微調整をおこなう場合や、モディファイアーによって生成されたメッシュのUV展開をおこなう場合などには「適用」した方が調整しやすい場合があります。
ただし、「適用」するとモディファイアーの機能による調整や自動反映はできなくなるので気を付けてください。

例えば「ミラー」を適用前はメッシュを編集すると鏡像も同時に変化しますが、適用後は個別に編集する必要があります。逆に「ミラー」で生成した鏡像にわずかな差異を付けたい場合などは、モディファイアーを適用してから手動で編集する方が手軽であることもあります。

適用順

複数のモディファイアーを設定している場合、それぞれのモディファイアーの右上部分をドラッグすることで順番を入れ替えることができます。モディファイアーは上から順に反映されるため、順番を入れ替えると見た目が変わる場合があります。
また、同じ理由で「適用」する場合は上から順に適用しないと見た目が変わってしまう場合があります。

ミラー|左右対称のモデルをつくる時に便利な機能

メッシュの鏡像を作成します。
設定すると選択した軸(X/Y/Z)の方向に反転した鏡像が生成されます。例えばX軸を選択した場合、YZ平面上に鏡を置いたような形になります。
キャラクターの顔など、左右対称のモデルをつくる際に便利です。

通常はモディファイアーを設定したオブジェクト自身のローカル座標系で反転されますが、「ミラーオブジェクト」の項目に別のオブジェクトを指定(入力欄にドラッグ&ドロップ、またはスポイトのアイコンをクリックしてから指定したいオブジェクトをクリック)すると、指定したオブジェクトのローカル座標系を基準として反転するようになります。

画像では見やすいようにメッシュを指定していますが、エンプティを基準に指定することもできます。

配列|同じモデルを一定間隔で並べる時に便利

同じメッシュを一定間隔で並べるモディファイアーです。
「数」の項目で並べる個数を指定します。
「オフセット(倍率)」「一定のオフセット」「オフセット(OBJ)」のいずれかにチェックをつけて有効化することで、並べる間隔をそれぞれ異なる方法で設定できます。

オフセット(倍率)

メッシュの寸法に対して一定の割合で間隔を決定します。メッシュを編集して寸法が変わると自動で間隔に反映されます。
例えば係数のXが1.0であればピッタリくっつく間隔でX軸方向に並び、2.0であればちょうどひとつ分の間を空けて並びます。
各軸の係数を個別に設定できるため、たとえば直方体を係数X=1.0、Z=1.0で並べれば階段をつくることもできます。

一定のオフセット

距離を指定して、メッシュの寸法によらず一定の間隔で並べることができます。

オフセット(OBJ)

別のオブジェクトを指定し、自身とそのオブジェクトとの相対的な位置などを基準に間隔を決定します。
例えばモディファイアーを設定したオブジェクトの位置が(0, 0, 0)で、基準となるオブジェクトの位置が(1, 0, 0)の場合、X軸方向に距離1の間隔で並びます。

また、「オフセット(OBJ)」を選択した場合のみ、基準となるオブジェクトを回転・拡大縮小させることで回転角度や拡大率も一定ずつ変化させながら並べることができ、これを利用して例えば螺旋階段などをつくることができます。

ブーリアン|モデルを組み合わせて複雑な形状をつくる

別のメッシュと重なった部分を元に形状を変化させるモディファイアーです。
「オブジェクト」に別のメッシュを指定し、「交差」「合成」「差分」のいずれかを選択します。
穴や窪みをつくったり、シンプルな形状を組み合わせて複雑なモデルをつくったりといった使い方ができます。

それぞれのメッシュが閉じた形状でない場合、正しく適用されない場合があります。

交差

ふたつのメッシュが重なった部分だけを残します。

合成

ふたつのメッシュが合わさったメッシュを生成します。

差分

モディファイアーを設定したオブジェクトから、指定したオブジェクトと重なった部分を削ります。

サブディビジョンサーフェス|モデルをなめらかにする

メッシュを細かく分割して滑らかにします。
「ビューポートのレベル数」の値が大きいほど細かく分割されます。

面数が非常に大きくなってしまう場合があるため、注意してください。

ベベル|モデルの角を丸くする

メッシュの角を取って丸くします。
「幅」の値によって削り取る大きさを変えることができます。「セグメント」は角を取った部分の分割数を設定します。値が大きいほど滑らかに丸くなります。
「制限方法」で「角度」を選択して値を指定すると、隣り合った面の角度が一定より大きい部分にだけベベルをかけることができます。

ソリッド化|モデルに厚みをつける

面に厚みを付けて立体的にするモディファイアーです。「幅」で厚みを指定します。
「オフセット」を-1.0~1.0の範囲で変化させることで、厚みの付け方を変えることができます。-1.0にすると面の裏側に、1.0にすると面の表側に「幅」の分だけ押し出した形状になります。0.0の場合は両面に半分ずつ均等に押し出されます。

曲がった部分や角の部分などを自然な厚みにしたい場合は「均一な厚さ」にチェックを入れます。

Blenderにはここで紹介した以外にも多数のモディファイアーが用意されています。
モディファイアーをうまく使うと、手作業よりもずっと手軽かつ柔軟にメッシュの変形や生成をおこなうことができます。モデルのクオリティを上げるためにも活用してみましょう!

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