展示アバターを魅力的に見せる「ポージング」のコツ

Cluster Creator Kit v2.25.0(以下、CCK)のアップデートで商品ディスプレイアイテムのアバター商品にポーズと表情が設定できるようになりました。(導入方法はこちらの記事で紹介しています)

また、このアップデートのタイミングでいくつかのサンプルポーズ(AnimationClip)がCCKに同梱されるようになったのをご存じでしょうか?

以下がそのサンプルポーズの一覧です。

※スクリーンショットのアバターは VRoid のサンプルアバターを利用しています( https://vroid.pixiv.help/hc/ja/articles/4402394424089-AvatarSample-A-B-C

同じアバターを使用しているにもかかわらず、ポーズが変わることによって印象が変わって感じませんか?
こうした、ポーズによって狙った印象を与えるテクニックを『ポージング』と呼びます。

今回は皆さんが制作したアバターを、より魅力的に、より狙った印象を持たせるコツをサンプルポーズを制作したクラスター社のアニメーターがご紹介します。

  • アバターを制作・販売しているクリエイターの方
  • アバター販売のためのワールドを制作しているクリエイターの方
  • Unityのアニメーション機能やBlenderなどのDCCツール(モデリングツール)を用いてアバターにポーズを取らせる程度の操作をできる方
  • 自身が制作したアバターをより魅力的に表現したい方

まずは先ほども紹介したサンプルポーズの中から2つを並べてみました。
ぱっとみて、どちらのほうが”魅力的”に見えるでしょうか?

このように聞かれると、「印象なんて人によって好みもあるのでどちらかが絶対的に魅力的かなんて選べない」と悩む方もいるかもしれません。
ただ、ポージングの世界では右のポーズのほうが魅力的に見えるような要素を多く含んでいるとされています。
そういう点では右のポーズのほうが”魅力的”と評価できそうです。

アバター販売においては”ぱっとみて魅力的に見せる”ことが非常に重要になってきます。
ぱっとみて魅力的に見えるということは、ぱっとみてユーザーの興味を引くことに成功したということ。
さらに言うと、ユーザーに選択してもらえる・購入してもらえる可能性を向上させることに繋がってくるかもしれません。

アバターの魅力を最大限に表現してたくさんの方に興味を持ってもらえるようなポージングの要素をひとつずつ学んでいきましょう。

もう一度先ほどのサンプルポーズをご覧ください。

意外に思うかもしれませんが、この2つのポーズを構成する主要成分は共通点が多いです。

  • 身体の主な向き
  • 腕の角度
    など

にも関わらず、ポーズから受ける印象が大きく異なるのはなぜでしょうか?
その正体のひとつに『曲線』が関係しています。

『曲線』を可視化したものが下の画像です。

左のポーズは腕や足だけでなく、頭からつま先までを線で繋いだ流れの印象までもが直線的なのに対し、右のポーズは各部位や全体の流れが曲線的な特徴を持っているのが分かるでしょうか。

この、頭からつま先までの大きな流れを一本の線で繋いだもの(画像の緑線)を『アクションライン』と呼びます。
アクションラインが直線的だと固く緊張した印象に、曲線的だと柔らかく自然な印象になるとされています。
また、見る人の視線の流れを誘導するような役割もあります。(視線誘導)

アクションラインの基本形には大きくS字とC字の2種類あります。

このS字とC字のカーブの強弱によって動きの印象を大人しくすることもダイナミックにすることもできます。
サンプルポーズでは汎用性を重視したため、アクションラインのカーブの強度はある程度統一感を持たせることを意識しました。

注意点として、アクションラインは非常に感覚的なものでもあります。
先ほど「頭からつま先までの大きな流れ」と解説しましたが、その流れのとらえ方にも個人差はあり、中には上半身だけで成立することもあります。
アクションラインをどのように設定するかは人それぞれなので、あまり決まった形に囚われ過ぎないようにしましょう。

また、アクションライン以外の重要な曲線に、腕や足などのパーツ単位の曲線があります。
このパーツ単位の曲線は、主に性別による身体的特徴を表現することに活用できます。

具体的には、女性は関節が柔らかく男性は硬い傾向にあります。
つまり、女性はカーブが曲線的であるのに対し、男性は直線的な特徴を持つということです。

下の画像では、女性的な印象を狙ったもの(左)と男性的な印象を狙ったもの(右)を並べてみました。
アクションラインは共に意識する一方で、腕や足のカーブは狙った印象に応じて曲線的/直線的になるように意識しています。

これは簡単なのでざっくりと解説しますが、特別な意図が無い限りはポーズは非対称にすると自然になるとされています。
逆に言うと、生物である以上完全に線対称な姿勢は難しいため、非対称が自然というよりは対称が不自然と言えるのかもしれません。

アクションラインを意識すれば自動的に非対称なポーズになるため、そこまで難しく考えなくても良さそうです。

『コントラポスト』という概念を学ぶのもいいかもしれません。
コントラポストは人の自然な立ちポーズを体系化したもので、①片脚に体重をかけ、もう片方の足はリラックスした姿勢になる②骨盤と肩がバランスを取るために逆方向に傾く という特徴があります。

古代ギリシャの彫刻作品によく見られるポーズで、「左右非対称な均衡美を表した視覚芸術」と説明されることもあります。

突然ですが、下の画像の3つの長方形の中でどれが一番魅力的に見えるでしょうか?

正直どれがと言われても選べないくらいには分かりづらかったかもしれません。(すみません)

それでは、これだとどうでしょうか。

何を言いたいのか少しは伝わったでしょうか。

実は、この3つの長方形は連続した動き(アニメーション)のキーフレームを表現していました。
そして、魅力的に見えるポーズとはしばしば動きのあるポーズというものが挙げられます。

動きのあるポーズとは、一連の動きの中のひとつを切り取ったものということになります。

一説には「人間には狩猟本能があるため動いているものを目で追う習性がある」という話を聞いたことがありますが、要はそれくらい人は動きのあるものに興味を持ってしまう = 魅力的に感じる性質があるということです。
例え静止画であっても、前後の動きを想像できるようなものであれば魅力的に感じるようです。

アクションラインにも動きを表現するようなニュアンスは含まれますが、言葉通りにアニメーションの1コマとして捉えるのも考え方のひとつです。

ここでの安定・不安定とは、全体のシルエットから感じられる印象上の安定感を指します。
基本的には三角形は安定感を、逆三角形は不安定な印象になります。

不安定というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、言い換えると浮遊感や躍動感を表現することができます。
サンプルポーズは3D空間上に並べられる商品ディスプレイで使用されるため、現実空間ではありえないような浮遊感や躍動感を演出するためにあえて逆三角形シルエットを多用しています。

この記事ではアバターを魅力的に見せるポージングの様々な要素を紹介しました。
サンプルポーズではこれらの要素を意識しつつも、あくまで汎用的に使えるように制作したものです。

皆さんが作成したアバターの魅力を一番知っているのは皆さん自身です。
サンプルポーズも気に入っていただけたのであれば幸いですが、この機会にアバターの魅力を一番引き出せるようなポーズを制作してみてはいかがでしょうか。

一つだけ最後に補足しておくと、記事の都合上シンプルなAポーズ(ProductDisplayAvatarPose01)がまるで魅力的ではないような印象を持たれたかもしれません。
実際のところこの記事で紹介したような魅力的な要素はあえて省いたものになりますが、これも使用目的次第では十分活躍すると思って採用しています。

例えば無機質なマネキン的に使いたいといった場合にはむしろベストな選択肢と言えるかもしれません。
ポージングはあくまでも『見る人にどんな印象を与えたいか』で選ぶべきです。

記事をシェアしてワールド制作を盛り上げよう!

Cluster Creators Guide|バーチャル空間での創作を学ぶならをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む