私のワールドの”なかみ”の話

今回はみずほコリさんによる記事「私のワールドの”なかみ”の話」を転載します。
素敵なワールドの数々がどのような思いで生まれたものなのか、そのバックグラウンドが伝わる記事になっています。ぜひこちらの記事を読んで、紹介されているワールドに遊びに行ってみてください。

こんにちは!みずほコリです。

この記事はclusterユーザーと創造する非公式 Advent Calendar 2022の15日目の記事です。

昨日はhkさんの「2021~2022年のイベント会場制作加速記録【前編】(*’ω’*)」でした。
いつもとても綺麗で心を動かされるワールドを作成されているhkさん!
番組から劇場まで数々の素敵なイベント会場を手がけてきた怒涛の活躍ぶり!たくさんの楽しいを受け取りました…!
後編のライブイベント編も楽しみです!

さて、私は「ワールドのなかみ」について書いておこうと思います。
私はclusterでワールドをつくるのが好きです!
clusterを始めた2021年の6月からずっと夢中になってつくってきました。
この記事では、そんな1年半の間につくってきたワールドの中に詰まった、私の思いやこだわりの一部をお話しします。
(ワールドを絞ったつもりが、つい長くなってしまったので、冒頭だけでも読んでいただけると幸いです…!)

私が好きなこと楽しいことをバーチャル空間でもやりたい!

大事な前提として、私がワールドをつくる理由、モチベーションがこれです!

私は初めてclusterに来た時、綺麗で見たことなくて素敵で楽しくて面白いたくさんのワールドに出会ってめちゃくちゃ感動したんです。そしてさらに、その先々でそのワールドをつくったという作者様方にお会いして、お話ができて、この世界がつくれるんだ!ということに心を打たれました。

だって、もし自身が「楽しい」とか「好き」って思う世界をつくってそこを訪れることができれば、私はきっともっと感動を味わえることでしょう!なんて幸せな!

だから私は、私が見たい景色、行きたい場所、やりたいことができる世界をつくって、私自身をもっと感動させてあげるためにワールドをつくっています。自分へのプレゼントなんです!

あと、もしそのワールドを訪れて私と同じように「楽しい」とか「好き」って思う人が1人でもいたら、それはさらにプラスされて幸せなことだなと思います。
誰かの楽しいが共有されて他の誰かが楽しいと感じて、その誰かもまた楽しいを共有して…そうして文化が繋がっていくのって素敵ですよね!

ダーツが投げたい!

ClusterGAMEJAM 2021 in SUMMER 後夜祭
ロケットダーツ Three-throw Rocket Darts

私がclusterで初めてやりたいなと思ったことがダーツでした。
ダーツって飲み屋とかでみんなで気軽に遊べるし、1人でも集中して遊べておもしろいんです。
狙って投げて外して、投げ方調整してまた投げてって夢中になって、狙い通り刺さった時めちゃくちゃ楽しい!

これをバーチャルでやったらVRの身体性からしてもリアルと同じように絶対楽しいと思い、ダーツを投げるワールドをつくりました。
当時Unityとやらをダウンロードしたばかりでわからないことだらけでしたが、そんなもんじゃ私の楽しみは止められねえんだ…!
CCKの記事を書いてくれたり、直接教えてくれた方々に感謝です!

特にこの的当てゲームの公式記事は何度も何度も読んでダーツをつくりました。クリエイターズガイドは基本が手厚いし応用すればなんでもつくれるからすごい…!

こだわり

ここで私がやりたかった体験は、「ダーツの矢を持って、よく狙いを定めて、投げる。外れたらまた狙い方調整して、投げる。」という一連の動作です。これを繰り返して、実際に自分の手元を調整しながら上達していくと楽しいですよね!

そのために、手元で矢を飛ばす角度を調整して狙うというギミックをつくりました。

長押しすると矢が回転、離すと止まり、また押すと逆回転

これはVRなら自分の手の向きを微調整して自然にやってしまえることなのですが、スマホでも同じように味わってほしくて、掴んでる矢の角度調整をUseボタンの長押しで調整できるようにしました。
(当時のclusterスマホ版は、まだアバターの手の位置を自由に動かせませんでした。)
これはVRChatのデスクトップモードで掴んだアイテムを「J」キーや「K」キーで回転できた体験が元になってます。
このギミックにより、FPS的に視点移動で的を捉えて銃を撃つのとはまた違った、ダーツっぽい一連の操作感をつくれたと思います。

こちらのダーツはBOOTHでも配布していて、いろんなワールドにも置いていただいてます!ぜひ遊んでみてね!

動物園に行きたい!

ほっこりパーク動物園 OPEN
ほっこりパーク動物園

私は小さい頃から動物園に行くのが大好きです!
生き物ってかわいくて癒しなうえ、多種多様でかわいくて不思議で、そしてかわいい…!そんな尽きない興味に園内を散策しながら次々と出会える楽しさ…!
これをバーチャルでも行きたいと思うのはオワンクラゲを見るより明らかです。
でも当時、リアルの動物園のように散策できるワールドはまだなかったので、つくりました。私の理想のどうぶつえん。

こだわり

このワールドをつくるにあたり最初から決めていたのが、半年ほどかけてエリア追加のアップデートを運営することでした。
これは、たくさん動物がいる広大なマップがつくりたいけど一度に全部つくるのは大変だったというのもありますが、アップデートのわくわく感を演出したかったからです。

ちょうどその頃、小小的海底世界のオーナー七種あきのちゃんが、ほぼ毎日ワールドを更新していて、来るたびに部屋が増えたりアイテムが増えたりしていたのがすごくわくわくして楽しかった覚えがあります。

だから私も大きなワールドをつくったときは、そんな楽しさをつくりたいと思い、徐々にエリアを増やしていきました。
初期の構想にはあった密林エリア、砂漠エリア、爬虫類館、山岳エリアを後から追加して完成したかたちになります。
テーマパークに新エリアができると絶対また行きたくなりますが、実際そう感じてワールドに遊びに来てくれた方もいてよかったです!

広大な園内マップ

それから、実はほっこりパーク動物園はいろんな動物園の展示方法を参考にしています。
入口すぐに木々を抜けるとゾウが迎えてくれるのは、横浜のズーラシア。ライオンとキリンやシマウマが同視野に入るサバンナの生態的展示は、天王寺動物園。レッサーパンダが動き回る行動展示は、旭山動物園。ワニを温室の歩道で上から見たり水槽で真横から見たりは、東山動物園。敷居の低い自由なリクガメは伊豆のiZoo。他にも、入口のゲートはサンディエゴ動物園、名前はセントラルパーク動物園などなど…

実際行って楽しかった展示や、写真で見ていいなと思ったデザインなどを詰め込んで、どこを見ても生き生きした楽しい体験ができるようにつくりこみました。動物はローポリなのにおなかいっぱいでほくほくですね…!
↓ CMもどうぞ!

スノーボードで滑りたい!

ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING 完成して放心状態
ラヴァボード Lava Board ~絶品!火山焼きステーキ~

スノボいいよねスノボ!
あたり一面の白い世界を滑走するという爽快感!開放感!満足感!あらためて考えるとなかなか特殊なロケーションと体験ですよね。まさに非日常の楽しさ!
そしてこれも操縦感が面白くて、自由落下で滑り落ちていかないように、重心移動でエッジをかけてターンすることで速度を制御します。ボードが体とくっついているので、まるで生身で重力を制御して乗りこなしているような感覚があるんです!しかも、何回か滑れば操作を体が覚えてきて、意外とすぐに楽しくなってくる!

でも、シーズンが限られているしスキー場に行くもの大変だし、私は寒いのが苦手…
やっぱりバーチャルでやるしか…!
そしてせっかくならさらに非日常を掛け合わせて寒い雪山とは真逆の火山でもいいのでは…!

こだわり

ここでも一番のこだわりは操作感です。
まっすぐ下っていくとスピードが出すぎるので、カーブすることで斜面にエッジがかかってスピードを落とせる感じ。

これを実装するのにいろいろ実験していて、最初は板の形状や摩擦力の強さをいじってそれっぽい物理挙動ができないか検討したのですがなかなか思い通りにはいかず…
そこで、困ったときの公式!テンプレートの車を改造してボードをつくりました!見た目はスノーボードですが、実際は車輪がついたスケボーです。ターボエンジンはついてないよ。

まっすぐの時は車輪が転がって斜面をどんどん加速していくのですが、車輪のサイズに対して車高がめちゃくちゃ低いので、曲がるとすぐにボードの片端が地面に接触して摩擦力が働いてスピードが落ちる仕組みです。
タイヤのパラメーターはほとんど公式の車のままで、結構適当に車高低くしてみただけですが、意外としっくりくる感じになりました。

たぶん車高1cmもないくらいすれすれ

これでエッジがかかる感じが再現できて、急斜面を滑る爽快感とカーブしてスピードを制御する楽しさができました!
VRの人はスティック操作とともに自分の体も傾けてみると没入感増しておもしろいよ!
肉に乗れるのは、ゲームジャムのメンバーに肉アバターのはらさんを引き込めたこととお祭りテンションゆえですが、わけわからんくておもしろいから気に入ってます。

VRの爽快感!(酔い注意)

テーマパークのアトラクションに乗りたい!

テクニカルリハーサルの様子
アンリミテッド・ジュラシック・ツアー・ザ・ライド

最後はこちら、先日公開したばかりの大型VRライドアトラクションワールド!
ひとりで制作していたので3ヶ月もかかりました…
でもこれはほんとにずっと前からつくりたかった!
映画『ジュラシック・パーク』、そしてテーマパークのアトラクションが大好きすぎて、恐竜のライドは絶対やりたい、体験したい、感動したいという一心でつくりきりました。リアルで楽しいことがバーチャルで楽しくないわけがないのです!そして、リアルでできることがバーチャルでできないわけがないのです!

今年の夏に龍飛さん主催のイベント「納涼祭」で会場制作のお手伝いをした際、タイムラインや軽量化についてかなり勉強になったこともあり、今なら私の見たかった景色が見れる!と思い頑張りました…!

Unity、Blender、グラフィックデザイン、動画編集、両声類など私がこれまでやってきた全部を使ったし、足りないものも全部調べて使いました!理想のティラノサウルスの鳴き声素材がなかったので、音声編集ソフト調べて他の動物の鳴き声混ぜてつくったり、語彙力なくてアナウンスのセリフが書けなかったので、ChatGPTのAIくんに相談しながら書いたり…
そうして私の2022年の集大成が完成しました!!

こだわり

正直書ききれないくらいあるのですが、全体的に映画およびテーマパークにある実際のアトラクションにかなり影響を受けていて、ほんとに楽しいものを目指したということです。

出てくる恐竜は、私の大好きな『ジュラシック・パーク』シリーズにも登場するメジャーな子たちばかりで、それぞれの場面での演出も、映画を見たことがある人にはより楽しめるようになってます。

また、テーマパークのアトラクションでは、USJのジュラシック・パークはもちろんですが、JAWS、ターミネーター、スパイダーマン、バックドラフト、ディズニーのインディ・ジョーンズなどで使われている演出が元になっている箇所があります。お客さんをアトラクションの世界観へ引き込むセリフや背景セット、恐竜の見せ方や動き、そのタイミングなどなど、実際自分が体験して魅せられた演出を思い返しながら調整していきました。

VRChatのライドアトラクションも参考にしていて、「Magic Heist」の景色がガラッと変わる場面転換だったり、「ヴァリアライド」のように入口から出口まで設計された世界観の作りこみなど、私が楽しいと思った経験すべてが活かされています。

立ち上がるブラキオサウルス

演出の例をひとつ挙げておくと、アトラクションをつくる上で必ず入れたかったことに、トラブル発生系演出があります。(専門家ではないのでそういう名前なのか知らないけれど…)
ストーリーの途中でトラブルに巻き込まれて危機的状況に陥るが最後には生還する系のあれです。ジェットコースターも、これの一番単純な形かと思います。本当にレールが壊れて落下したら楽しむどころじゃないですが、私たちはあくまでこれがジェットコースターという娯楽だとわかっています。

つまり、安全が保障された中で提供される落下というスリルを楽しんでいて、乗り物を降りた後はちゃんと地面に足がついて帰ってこれる。この、安全→スリル→安全の流れがあるから楽しいんです。

だからこのワールドでも、いきなり乗車してルートを走行しきったら終了というビデオ的な体験ではなく、まず自分の足で乗り場へ向かうところから始まって、わずかに不安を煽られつつ乗車し、お約束通りトラブルに巻き込まれますが、最後はちゃんと安全なもとの場所へ帰ってきて降車するという一連の体験をつくりました。
これにより、ちゃんと安全とスリルの落差が生まれると同時に、乗り物を降りたときに「楽しかったー」という感情をより強く感じれるはずです…!たぶん…!

おわり

ここまで読んでいただきありがとうございます…!
まだまだ紹介しきれてないこだわりや他のワールドもありますが、私のワールドの中に詰まった「好き」や「楽しい」が少しでも伝わっていたらうれしいです!

今までなかなか機会がなく、今回初めてnoteを書いてみましたがちょっと楽しかったです。そのうちUnityとかギミックとか技術的な中身も書けたらなと思います。
これも、今年も非公式アドカレを開催していただいたるーしっどさん、こういった記事を身近なものに感じさせてくれたメタバースライターのでんこさんのおかげです。ありがとうございます。
(と、お礼を書いてから気づきましたが、いつかの深夜に”きっかけ”のお話をしてくれたお二人ですね。ちゃんと”きっかけ”もらってました…!)

さて、明日16日はtoukaiさんの「clusterワールドでの記憶の宮殿の紹介と実践について。」です。
なにやらおもしろそうな視点からのお話が聞けそうですね!

ではではー(  ・▽・)ノシ

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