「Unityを学ぶためにはどうすればいいの?」Unity Japan公式さんに聞いてみました

前回、UnityさんにCreators Guideの記事の中で「軽量化」に関する記事をピックアップしてもらい、公式noteでご紹介いただきました。

記事の中でclusterがUnityの基本操作を覚えるのに有用だと言っていただいております。
Creators Guideでは、日々クリエイターの皆さんにとって役立つ情報を模索し、発信しています。しかし、記事がいくらあっても「どこから見ればいいの?どう学べばいいの?」となってしまう方もいると思います。

そこで、今回は長年ユーザー向けの発信をしているUnityさんにUnityを学ぶためのコツがあればお伺いしたいと思い、アドボケイトの田村さんと山村さんにお話を聞きました。

田村幸一さん(コミュニティアドボケイト)
2018年よりユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社でPR業務などを担当。Unity歴10年のユーザーでもあり、ユーザーコミュニティでも活動中。仕事経験的にはネット関係を20年以上。

山村達彦さん(開発者アドボケイト(ゲーム担当))
某SI社にて開発業務に従事、独立後はテラシュールウェアを立ち上げ、iPhone/Androidアプリ開発に携わりつつUnityの情報発信を積極的に行う。その後ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社(現・同株式会社)に就職、フィールドエンジニアとしてUnityユーザーのサポートを行っている。

「やりたいことを明確にする」ことの重要性

──Unityさんでは色々なチュートリアルや記事を発信されていると思うのですが、まずはUnityを学びはじめた方が、Unityさんが発信されているコンテンツの中でどこからはじめると良いのか教えてください。

田村
最初はやはりサンプルプロジェクトを参照するのがよいと思います。
私たちとしてはUnity Learnにあるチュートリアルをおすすめしたいですね。
すべてが日本語化されているわけではないのですが、「PathWay」にはビギナー向けのものもあります。

山村
ただ、Unityを学ぶ方は自分でチュートリアルを探して、それを真似るという形で操作を覚えていく方が多いなという印象があります。

──なるほど。

田村
そうした方に対しては、Unity Japanで運営するUnity Learning Materialがおすすめです。
こちらは左側のメニューにカテゴリーが用意されていて、機能ごとの切り分けで動画やスライドが分類されているので、このサイトだと自分が知りたい情報が調べやすくなっています

田村
ただUnity Learning Materialは特定の機能が前提にあるので、その機能を知っていれば使いやすいのですが、知らないと若干使いづらいという面はありますね。

──ありがとうございます。多くの情報が公開されているので、ワールド制作に活かせそうなものもありそうですね。
アドボケイトのおふたりは、普段からいろいろなユーザーさんと接する機会が多いと思うのですが「どこから学べばいいんでしょうか」という質問も結構あるのでしょうか。

山村
ありますね。

田村
ただ、Unityの操作の仕方や「こういうことができます」ということくらいまでは説明できるのですが、やはり皆さんのつくりたいものがばらばらすぎて、その人がつくりたいものに踏み込もうとすると、なかなか良い回答がないんですよね。
例えば、「オンラインで遊べるロールプレイングゲームをつくりたい」としても、それをcluster上でつくりたいとすればclusterの仕様に沿ってつくる必要があるわけで。他のプラットフォーム向けであれば当然つくりかたもガラッと変わってきちゃうので。

──そうなると、やはり「つくりたいものを明確にする」とか、そういうところがポイントになってくるのでしょうか。
clusterでも「こういうことをやりたいけど、どこから学んだら良いのか分からない」という方もいらっしゃいますね。

田村
そうですね。なのでclusterでワールドを作る際は、clusterの制約条件から考えていくのが良いと思います。
「ライトっていくつ使えるんだっけ」とか「シェーダーはどれが使えるのか」みたいな話は、明確にCreator Kitドキュメントで書かれてるじゃないですか。
最終的にはそこからの組み合わせでつくるので、制約のことをちゃんと理解してから、その組み合わせでどうやって何ができるんだろうと試行錯誤する方が、結果的には良いものができる可能性が高いと思います。

──確かにそうですね。

山村
私はclusterってすごい良いなと思っています。
長い間、我々の悩みのひとつだったんですけれど、Unityって何でもできてしまうので、やっぱり「何からすればいいのか分からない」という壁が最初の一歩であるんですよね。なので、clusterさんでのワールド制作のような取っかかりがあると、最初の一歩として覚えるのが楽なんですよね。

──なるほど。

田村
そうした中でclusterのクリエイターの皆さんは、オリジナリティーを持って自分ができることをちゃんとアピールしているという点で素晴らしいと思っています。

──確かにワールドとして公開すれば、色々な方に見てもらうこともできますし、明確に「ビジュアルになる」のはモチベーションへの影響は大きいのかもしれませんね。

動画で操作方法を覚えるのもあり─「Speed Level Design」

──何かのチュートリアルを終えて基本操作を覚えたけど、その人がやりたい時に行き着くためにいくつかのステップを踏む必要があると思います。
例えば、clusterだとライティング等に興味を持つクリエイターさんが多かったりするのですが、そうした特定の機能の理解を深めていくのにおすすめのコンテンツはありますか。

田村
この前のnoteでも書いた通り、Creators Guideの方法を忠実にやるのが良いと思っています。
あとは、誰かがつくったワールドの表現で気になったものを見つけたらその人に聞いてみるのがひょっとすると一番手っ取り早いのではないかなと思います。

山村
「ワールドをつくる」という視点でいうと、YouTube等にある「スピードレベルデザイン」という動画群が良いのではないかと思いました。
例えば4倍速ぐらいでTerrainとかを使ってワールドをつくっていく過程を見せるというものなんですけど、実践されているのを倍速で見ると「こうやってつくればいいんだな」というのがなんとなく分かりますよね。

clusterでは使用できない機能が含まれている場合もあります

──確かに。

山村
UnityのProBuilderとかを使ってガガガッとワールドをつくっていくみたいな過程を見せる動画もありますね。
こういう動画をアップしているアカウントがYouTube上に結構あるんですよね。

──確かにワールド制作をやる時は、これを見てモチベーションを上げるというのはありかもしれません。
明確に「こういうビジュアルをつくれるんだ!」っていうゴールがあると、つくりたくなる感じが湧いてきそうですよね。

山村
例えばclusterのクリエイターさんでワールドをつくってる方は、自分のワールド制作を収録しておいて、何倍速とかで見せるみたいな動画をYouTubeとかで公開してもいいんじゃないですかね。結構下準備が大変らしいというのを聞いていますが(笑)

Unityのお悩み相談場所

──チュートリアルももちろん重要なのですが、やはり直接質問できたり、相談できる場所があることも重要かなと思っています。Unityを学ぶ時に、そういう質問・相談できる場所はあるのでしょうか?

田村
ユーザーのnaichiさんが運営されている「Unityゲーム開発者ギルド」というslackがありますね。

──なるほど。「Unityゲーム開発者ギルド」は誰でも入ることはできるのでしょうか?

田村
このページを見てもらうと「Unityゲーム開発者ギルド」の入り方が分かります。

──ありがとうございます!

山村
あと、レバレジーズさんが運営されているQ&Aサイト「teratail」は結構回答率が高いですね。

ITエンジニアに特化したQ&Aサイト「teratail

田村
あと、英語ができるのであれば、Unity公式の「Unity Forums」という場所があるので、ここにアクセスすれば、世界中のUnityユーザーとコミュニケーションできます。

──ありがとうございます。
やはり色々な場所があるんですね。Unityの機能についての質問であれば、教えていただいた場所にお邪魔して質問するのもよさそうですね。

多彩なユーザー発のUnity勉強会イベント

──Unityさんのnoteでは最近、ユーザーさん主催のイベントを紹介されていますよね。

田村
4・5カ月ぐらい前から始めてる企画ですね。オフラインイベントも少しずつ増えてきているので、ユーザーさんのイベントをちょっとまとめてみようかみたいな感じで。
今はオンラインとオフラインのそれぞれでイベントも増えてますね。また、ひとつのユーザーコミュニティでオンラインもオフラインもイベント開催しているところもあったり。

【10/1〜10/15】Unityの秋!コツコツ勉強して、実力を伸ばそう!Unityイベント情報まとめ
会場や対象者が分かりやすくまとめられているため、自分に合ったイベントを探すことができる。

──こういう情報はUnityさん独自に集めてるんですか。

田村
自分達で集めてますね。
川口インディーゲーム製作もくもく会などは、主催者の人に直接インタビューして、会に参加する意義を語ってもらったりしています。

Unity初心者こそ「もくもく会」でスキルアップ!「川口インディーゲーム製作もくもく会」の主催者に魅力を聞いた
「8年続いているのは、色んな強みをもった仲間がいるから」岡山Unity勉強会@岡山【メンバー募集!全国Unityコミュニティ名鑑】
「初心者ユーザーは、教本とにらめっこするよりも、こういう会で色々聞いたほうが早いし、楽しいと思います。もちろん、自分で考えたり調べたりした上で質問するという前提はありつつですが。」という主催の方の発言など勉強になることが多いです。

──普通のUnityの使い方とは少し違うのかもしれないんですけど、質問の場としてはclusterのクリエイターさんもこういう場所を活用して質問するというのもあり得そうですね。

田村
確かにそうですね。cluster公式さんによるワークショップとかも最近始まったりしているじゃないですか。クリエイターさんがやってる勉強会等はTwitterで紹介したりはされているんですか?

──紹介などはできていませんね…。
最近は、clusterのイベント機能を使って勉強会的なイベントを開いている方は増えてきているかなという印象もあります。また、clusterでは普段から画面共有機能等が使えるので、イベントにせずに仲間同士で教え合っているクリエイターさんが多いのかもしれません。

田村
そういうイベントはスクリーンショットとかたくさん撮っておいて、clusterさんのnoteで紹介するとかもあり得そうですね。

──そうですね。そういうこともいずれはやりたいと思っています。
公式でも色々なワークショップはやろうと思っているんですけど、なかなか手が足りていません。なので、ワークショップのアーカイブや使った教材も全部クリエイターさんが自由に使える状態にして、クリエイターさん同士が教え合いとかに使えるようにしたいなどは考えています。

山村
タイムラプスでワールドの作成過程などを撮れたら絶対良いんですけどね。ワールド制作が進行してる過程が見えて、だんだん何かがつくられていくのが見えていくみたいな。
やっぱり、どれだけ丁寧に解説したとしても「できる人の制作過程を見ないと分からない」という話はあるんですよね。

田村
何を見せるかにもよるんですけど、1から10までバーッてつくってる様子を見せるみたいなのはやっぱり良いですよね。

──確かに色々なクリエイターさんがそういう動画を上げるようになったら、つくりたくなる人も増えそうですね。本日はありがとうございました!


Unityを使いこなすのは大変だと思いますが、今回の記事を参考にしたりして自分なりの学習方法を見つけるのが良さそうです。(そして、もし良ければ)クリエイターの皆さんの知見をCreators Guideにお寄せください!

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