clusterの始め方からUnityでのワールド制作までを解説した書籍が発売!──『メタバースワールド作成入門』vinsさんインタビュー

2023年1月23日に翔泳社さんからclusterでのワールド制作を解説する本『メタバースワールド作成入門 clusterで作る仮想世界・イベント空間』が発売されました。

著者はCreators Guideでも色々と寄稿していただいているvinsさん。そこで今回はvinsさんに本書のおすすめポイントなどをお聞きしました!

vins(ヴィンス)

Creators Guideへの寄稿やclusterでのワールド公開を行っている。数値を使うゲームワールドが好き。「カンヅメ RPG」GameJAM2020 冬 大賞等。

「メタバース」の解説やclusterの始め方からフォローした本

──まずは、この本のvinsさんのおすすめポイントを教えてください。

この本は4章以降はUnityでのワールド作成方法を解説している一方で、1〜3章はclusterをまったくやったことない人に向けて書いています。

2章より。基本的なところから説明がある

なので、まだclusterをやったことがない人はもちろん、家族や友人、同僚に「メタバースとはこういうものだ」「clusterとはこういうものだ」と説明する時にも役立つのではないかと思います。

──最初の方では、メタバースの解説自体から始まり、clusterで現在生まれているワールドやイベントも多く紹介されているのが印象的でした。

テレビ等でも「メタバース」というワードがよく出てきていますが、その時にたくさんのワールドやイベントが取り上げられるわけではないですよね。
その中でこの本では、実際に存在するワールド・イベントの名前を写真と共に紹介して「clusterではこういうことが行われているんだな」ということが伝わるように書きました。

──ワールドやイベントの紹介文を読んで、vinsさんが一人のユーザーとして楽しんでいる感じがすごく良いなと思いました。

本を書き始めてから「clusterはイベントが大事だし、イベントにもうちょっと行かなきゃいけないな」と意識し始めたら「イベントって面白いな」と改めて気付いたんですよね。

特に最近はお笑い系のイベントにハマっていて、本当は1ページ使って紹介したかったなって後になって思いました(笑)

Unityでのワールド制作を基本から発展まで

──clusterの始め方をしっかり説明した上でワールド制作の解説がある、というのが色々な読み方ができるのが良いですね。

4〜7章はclusterを既に始めていて、Unityでワールドをつくっていきたいと思っている人向けの内容なのですが、Cluster Creator Kitのアイテム機能は6章まで使わないようにしているんです。

5章最終ページより

これはマテリアルやパーティクルといったUnityの標準機能だけでも十分面白いワールドをつくることができることを示せればと思い、このような構成にしています。

Unityでワールドをつくるのは難しいと思っている人や、Cluster Creator Kitでワールドをつくるのに挫折してしまった人は、4・5章をじっくりと読んでもらえればと思っています。

──本を書いてみて苦労したポイントはありますか?

最初は256ページで原稿をお願いされたのですが、書いてみたら最初の原稿が370ページになっていて、分量のコントロールが大変でした(笑)

そこで難易度的に難しいロジックの説明は「特別追加記事」という形にして、自分でPDFをつくって、付録としてさらに学習したい時に使えるものとして読めるようにしました。

Cluster Creator Kitのトリガー・ギミックも最初に触るものとしては難しく、解説しようとするとどうしても長くなってしまうので、その辺りをなるべく触らなくてもワールドをつくることができるようになる解説を目指しました。

サンプルプロジェクトより

また、本書のサンプルプロジェクトにはモデルやテクスチャがたくさん入っているので、Unityアセットストアなどであまり多くのアセットを買えない…という中高生の方や学生さんが始める時にも意外といいんじゃないかなと思います。

「メタバース」に興味ある人やclusterの魅力を周りに伝えたい人におすすめ

──この本はどういう人に特におすすめできるか、など読者の想定はしていたのでしょうか?

「メタバースという言葉に興味はあるんだけど、なんだかよく分からない」という方に読んでもらいたいですね。
clusterはVR機器があってもいいしなくてもいいし、スマホで入れて無料ですし。手軽なので、まずはやってみるのが一番だと思います。

ただ、やってみるのが一番だとしても「どういうところから始めるのが良いのか」「事前に準備をしてから新しいことを始めたい」という方は結構多いと思っています。なので、「メタバースとはこういうもので、clusterとはこういうもの」と先に勉強しておきたいという方にはおすすめですね。

──実は「本」が一番親しみがあって、気軽に手に取れるという方もいるかもしれませんしね。

そうですね。同様に自分がclusterやメタバースを体験しているけど、その魅力を周りの人に伝えたい、あるいはやっていることがなかなか上手く理解してもらえない、という方にもおすすめだと思います。

Unity力を高めていくかワールドクラフトを極めるか、色々な次のステップの可能性が開かれている

──この本を読み終えた後の次のステップについてのアドバイスなどがあればお聞きしたいです。

2つのパターンがあると思っています。

この本と特別追加記事まで終えた方は、そこで得た知識やテクニックをどう活かしていくかだと思います。その時にUnityアセットストアにあるアセットをどう活用するかが重要です。アセットストアの素材を動かしたり反応させたりするために、ぜひ本書の知識を活用してください。
さらに最適化したり軽量化したりといった、より高度な技術を組み合わせながら、ワールドをつくっていくのが一番良い次のステップだと思います。

Unityアセットストアには本当に数えきれないくらいのアセットがあるので、それをやるだけでいつまでも終わらないくらいのものすごい可能性の塊に出会うことができると思います(笑)

もうひとつ、「やっぱりUnityは難しくてできなかった」という方は3章でワールドクラフトの基本が説明してあるので、ワールドクラフトに挑戦していくのが良いと思います。

本書では間に合わなかったんですけど、今ではクラフトアイテムとスクリプトでワールドクラフトを拡充することもできるようになったので、ワールドクラフトでもできることはたくさんあります。

クラフトアイテムをアップロードするにはUnityを触る必要はあるのですが、その時にこの本でワールド制作の最初まで行き着けば、その経験が存分に活かせると思います。

──クラフトアイテムもそうですが、アクセサリーもUnityを使う点では共通しているので、本書で得た知識は役に立ちそうですね。

今後はクラフトアイテムやスクリプトの解説に力を入れていきたい

──vinsさん自身が今後挑戦してみたいことはありますか?

この前スクリプトのイベントを開催したんです。
その時に、スクリプトはコピペや改変だけでも色々なことができるということを話したら、実際にワールドクラフトのクラフトアイテムに組み込んでくれる方が出てきたんです。

このようにコピペや改変できるものを提供して、それの使い方次第でクリエイティブを発揮できるのはすごく良いことだと思ったので、クラフトアイテムやスクリプト辺りの発信に力を入れていきたいと思っています。

あと、実はワールドクラフトでどういう風にワールドをつくっていけばいいのか、という手順は意外とわからないところもあると思っていて、その辺りの定番や王道的な知識が共有されていくようになっていくと良いなと思っています。

──確かにそうですね。その辺りはCreators Guideも連携していきたいですね。
本日はありがとうございました。興味のある方は書店などでぜひ手に取ってみてください!

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