以前の記事でPrefabの使い方を紹介しましたが、これだけでは具体的な使用シーンが想像しづらいかもしれません。
今回はより具体的な状況を例に、実際に使える場面とその際のメリットを紹介していきます。
ケース1:敵キャラクターの数や種類を増やす
事前準備
シューティングゲームの敵キャラクターをつくる場合を考えます。
まずはテンプレートワールドの「シューター」を参考に、「弾が当たるとHPが減り、0になると消える」という仕組みを持ったキャラクターをつくってみました。

敵が1体だけでは寂しいので、同じ仕組みを持った敵キャラクターを複数配置しましょう。ここで、単にオブジェクトをコピーして増やした場合と、Prefabの機能を利用する場合とで比較してみます。

配置した後に機能を追加したくなった…そんな時に一括編集できるのがPrefab!
ひととおり配置したあとで、「敵を倒すとコインがドロップする」仕組みを追加したくなりました。
ここで、Prefab化せずにコピーして増やしていた場合、敵キャラクター1体1体にそれぞれ機能を追加しなければなりません。
一方、あらかじめPrefabにしてから配置していた場合、元のPrefabに機能を追加するだけですべての敵に変更が適用されます。

他にもダメージ演出を加えたり、HPを変更したりといった調整をあとからおこなう場合、Prefabにしておくことで簡単にまとめて変更できるようになります。
※完成したと思っても後になって変更する必要が出てきたり、ミスが見つかったりといったことはよくあります。修正をなくそうとするより、修正しやすいつくり方を心がけましょう。
「少しだけ違う」をつくる時に便利なPrefab Variant
また、HPや見た目などが異なる複数種類の敵をつくる際は、個別に変更したものをPrefab Variantとして保存しておくのがオススメです(Project上のPrefabを右クリックして、「Create > Prefab Variant」などから作成できます)。
この場合、共通の機能(ダメージを受けるロジックなど)だけのPrefabをつくっておき、それぞれの見た目や、あるいはキャラごとの専用機能(例えば攻撃や回復といった特殊能力)などを追加したものをPrefab Variantにしておくと管理しやすくなります。

ケース2:木をたくさん並べる
Prefabが役立つのはゲームだけではありません。続いて景観系のワールドでの例を紹介します。
自然の景色をイメージしたワールドに木を配置する場合を考えてみます。
3Dモデルをそのまま並べても良いのですが、例えば1本1本の木にコライダーを設定する場合などを考えると、ひととおり設定したものを先にPrefab化して並べるのがオススメです。
ヒエラルキーの整理と組み合わせると後から見た目や装飾の変更が楽に!
このときに一工夫して、親オブジェクトをつくってその下にモデルやコライダーなどを設定すると、より柔軟に扱えるようになります(ヒエラルキーの整理についてはこちらの記事で解説しています)。
例えば木の見た目を変えたり飾り付けたりしたいといった場合、Prefab内のモデルの差し替えや追加だけで簡単に変更することができます。

他にも動物のモデルに動きや鳴き声を設定してからPrefabにするなど、応用してみましょう。
ケース3:つくったものを他のワールドに置く
複雑なギミックなどをつくってそれを他のワールドにも置いてみたい場合に、もう一度最初からつくるのは大変です。
そういった場合に、Prefabにしておくことで他のワールドに簡単に持っていくことができます。
苦労してつくった複雑なギミックやアイテムを他のプロジェクトでも使いやすくなる!
例として、こちらの記事のオーディオプレイヤーをつくってみます。
お気に入りのBGMを設定したり見た目にもこだわってつくり込んだものを、別のワールドにも置いてみたくなりました。

まずはオーディオプレイヤーをまるごとPrefabにしましょう。
次に、置きたい先のワールドが同じプロジェクト内にある場合は、そのSceneを開きます。
開いたSceneにPrefabをドラッグ&ドロップすることで、同じものを設置することができます。

設置先のワールドが別のプロジェクトになっている場合は、こちらの手順でエクスポートしてから置きたいワールドのプロジェクトにインポートし、同じ方法で設置します。
※ギミックやトリガーのついたPrefabを別のワールドに持っていく場合は、TargetがGlobalやPlayerのトリガー・ギミックのKeyが移動先のワールドにあるギミック・トリガーと被らないように気を付けてください。
最初は使いどころが難しいかもしれませんが、Prefabをうまく使いこなすと複雑なゲームや大規模なダンジョンなども非常に効率よく制作できるようになります。
Hierarchyの整理テクニックと併せて、柔軟かつ効率的なワールド制作の参考にしてください!