初めまして!メタバース上でバンド活動をしているYAMADAと申します。

2024年10月28日 cluster v3.7のアップデートで、VRパフォーマーにとっては待望の機能『PC版VRのサブ音声対応(以下、VRサブ音声)』が実装されました。
これから音楽イベントを始める方やパフォーマーさんにとっては必須とも言える機能ですので、本記事で詳しく解説していきます。それではよろしくお願いします!
サブ音声とはなんぞや
詳細やワールドへの実装についてはすでに詳しい記事があるのでそちらに解説を譲りますが、ざっくりいうと低遅延かつステレオでワールド全体に音声を出力できる機能です。
(※ステレオ入力はWindows版のみ対応。ワールドへのコンポーネントの設置方法によって聞こえ方は変化します)
特にステレオで出力できる点は、モノラルでしか出せないアバターから直接出力する方法に対して大いに優位性があります。ただし、Speakerコンポーネントが搭載されているワールドでしか使用できない点はご注意ください。(サブ音声が使えるかどうかはワールドに入ってメニューで確認するか、ワールドのタイトルや説明に「サブ音声対応」と言ったキーワードが入っているかどうかで判断できます)
このようにサブ音声は魅力的ですが、デスクトップ版にしか開放されていない限定的な機能でした。しかし先日のアップデートでついにVRでも利用できるようになった……というのは先述の通りです。
VRサブ音声を使ってみよう
それでは早速VRサブ音声を使ってみましょう!とっても簡単です!
1.音声カスタムのメニューをひらくメニューを開いて、赤く囲んだ部分の音声カスタムメニューを開きます。
(デスクトップ版のサブ音声も音声カスタムメニューからのアクセスに変更になりました)

2.音声カスタムメニューからデバイスを選び、サブ音声を有効にする

3.メニューに戻ってスピーカーのボタンを押し、ミュートをはずす
写真のように”サブ音声On”と表示されたらOK!

これでサブ音声が出力されました!とっても簡単です!
お客さんはあなたの美しい声、演奏に酔いしれることでしょう!
ちなみに他のユーザーがサブ音声を有効にした場合、後から有効にした方がサブ音声を乗っ取るという挙動になります。他にも出演者がいる場合などはスムーズに転換できますが、演奏中に他ユーザーが間違えて有効にしてしまうと途中で演奏が止まってしまうので注意が必要です。
注意すべき設定
①メニュー>設定>サウンド>スピーカー を開き、
画像の通りサブ音声の項目をミュートにしてください。

この項目が上がっていると、会場に出力しているサブ音声を自分でも聴いてしまうことになります。つまり、二重で聴こえてしまいます。
演奏や公演の邪魔になるので絶対にチェックしましょう。
②メニュー>会場設定>音量設定 から、
サブ音声が上がっているかどうか確認しておきましょう。

デフォルトで上がっているので問題ないとは思いますが、念の為。こちらはイベント会場全体での音量フェーダーになりますので、これがオフになっているとサブ音声が出ません。
ちなみに120%まで上げることもできるので、音量の小さい出演者がいたらフォローしてあげることも可能です。
PC上の音源をサブ音声に乗せる
ループバックを使う
さて、これで皆さんサブ音声が利用できるようになったかと思います。
しかしこの状態だと声しか出力できず、PC上で流したカラオケなどはサブ音声に乗らないのではないでしょうか?
そんな時、大抵のオーディオインターフェース(以下AI/F)に搭載されているループバックという機能が活躍します。ループバックとは、PC上で再生された音をAI/Fの入力に入れ直すという機能なのですが、なにぶんややこしいので以下の図をご覧ください。

PC上でカラオケの音を再生しており、AI/Fからも聴こえているのだからサブ音声にもカラオケが乗ってくれそうなものですが……
clusterのサブ音声に限らず、音声の入力デバイスにAI/Fを選択した場合、そこに入力されるのは「AI/Fに直接入力した音」のみです。つまり、上の図でいうとマイクの音だけ、ということになります。
それでは前述のループバックを入れてみましょう。

ループバックを入れたことにより、PC上で再生された音がAI/Fの入力に入りました!
この状態なら、サブ音声にAI/Fを指定していてもカラオケの音が乗るようになります。
ただし、clusterの音も入力されてしまうため、お客さんにはエモートやギフトの音が二重に聞こえてしまうようになります。これを避けるためには、メニュー>設定>サウンド>スピーカーから全ての項目をミュートしましょう。
色々便利な「SYNCROOM」
せっかくのライブなのにエモートが聞こえないのは悲しい……
では、YAMAHAさんが提供するSYNCROOMというサービスを利用してみるのはいかがでしょうか。
本来は低遅延で遠隔セッションするための無償サービスなのですが、その実仮想AI/Fとしても非常に機能的です。弊バンドも大変お世話になっております。
こちらも下記の概念図からご覧ください。

SYNCROOMをインストールすると、YAMAHA SYNCROOM Driverという仮想オーディオデバイスが追加されます。こちらをサブ音声の入力に指定すると、SYNCROOM上で鳴っている音がサブ音声に出力されます。そして、SYNCROOM自身に音源を再生する機能があります。
SYNCROOMで声もカラオケも流してしまえば、無事サブ音声に出力されるというわけです。
当然clusterの音が二重になることはありません!遠隔セッションが楽しいのはもちろんですが、歌コラボや配信でも何かと便利なSYNCROOM。
公式マニュアルも非常に充実しているので、これを機に触ってみてはいかがでしょうか。
物理で解決する
最後はとっても力技ですが、「AI/Fに直接入力した音」のみ入力されるのであればAI/Fに直接入力してしまおうという発想です。

マイクとカラオケを再生するためのデバイスを接続したアナログミキサーをAI/Fに繋ぎ、それをサブ音声に流し込むという方法です。物理で調整しやすいためアナログミキサーを挟んでいますが、お手持ちのAI/Fの入力が3in以上あるのであればミキサーを挟む必要はありません。
なお、AI/Fの入力が2in以上でないとステレオで音を受け取れないので、サブ音声のうまみを生かすことができません。
音は目に見えないのでややこしいのですが、ご紹介した方法以外にもステレオ入力する方法はございます。
VRサブ音声を使って、clusterでの音楽ライフを楽しんでみてくださいませ!





















