バーチャルの音楽文化の地盤を築いた先に【JOHNNY HENRY・YAMADA さんインタビュー】──有料イベント「Cluster LIVE MUSIC CLUB」先行体験参加者インタビュー

clusterでは、誰でも有料チケット制のイベントを開催できる「【cluster 有料チケット制イベント】フリートライアル」の参加者を2025年11月30日まで申し込み受付しています。詳細は募集記事をご覧ください。
参加を検討している人の中には「有料イベントってどんな感じなんだろう?」と思い、参加を決めかねている方もいるかもしれません。そこで、今回は2024〜2025年最初にかけて開催した有料チケット販売イベントの開催プログラム「Cluster LIVE MUSIC CLUB」の先行体験に参加していただいたクリエイターの方々に、参加のきっかけや参加しての感想をインタビューしました。
フリートライアル参加を検討している方は、ぜひ読んでみてください!

JOHNNY HENRY・YAMADA さん
VR(主にVRChat)内で活動するブルースロックバンド、JOHNNY HENRYと申します。メンバーそれぞれ遠隔でありながら、全パートリアルタイムの演奏でロック、ブルースをバーチャルワールドを通して世界に鳴らします!!

JOHNNY HENRYメンバー
Vocal/BluesHarp : YAMADA https://twitter.com/yamada_is_aniki
Guitar : 藍葉じるあ https://twitter.com/AibaJirua
Bass : Moiri https://twitter.com/moimoi1220
Drums:YukiHata https://twitter.com/bijutsuyarou
各種SNSリンクなど→https://lit.link/johnnyhenry

──今回は、JOHNNY HENRYのメンバーであるYAMADAさんにお話を伺います。まずはJOHNNY HENRYについて自己紹介をお願いします。

2019年の9月に結成した完全生演奏のブルースロックバンドです。生演奏にこだわっていて、リアルにいるようなライブ体験ができるようにするというところで頑張っています。
Cluster LIVE MUSIC CLUBは、リアルのライブハウスに近い発想でつくられているところが、自分たちの活動スタイルとぴったりだなと思っていました。

──有料イベントを開催するにあたって、普段のイベントと差異化することなどは考えたのでしょうか。

普段は無料で開催しているライブを有料で開催します、というだけでは来てくれる方に申し訳が立たないので、お金を払ってくれた方にどういう価値を感じてもらえると良いかを考えました。色々考えた結果、JOHNNY HENRYはアルバム2枚リリースしていて、オリジナル曲の数が結構あるので、ひたすら曲数で殴るワンマンライブを開催することにしました。

──今回、ワンマンライブだったのは理由があるのでしょうか。

自分たちのバンドだけを見るためにお金を払って来てくれる方がどれくらいいるのかをベンチマークとして確認したかったというのがあります。
後は、自分たちだけでライブを開催した時に会場の雰囲気がどうなるのか、というのを制作者側の視点で確かめてみたかったというのもあります。

──JOHNNY HENRYはリアルの会場でのライブもされています。YSSさんのインタビューでは、リアルイベントは有料が当たり前なので有料イベント自体には慣れていたとお話されていました。

バーチャルでも依頼されて出演する場合は出演料をもらうことはありますが、お客さんにチケット購入してもらってお金をもらうという体験はなかったので、新鮮でしたね。

依頼されてイベントに出演する場合は、演奏を通じてイベントを盛り上げたい気持ちがあります。見に来ている人もイベントを盛り上げたくて来ていると思うので、演奏だけを見るためにお金を払ってきているわけではないですよね。

一方で、今回のような有料イベントは、自分たちの演奏を見てもらうためだけにお金を払って来てくれているので「お金をもらう」という点では変わりませんが、お客さんのそういう意識の違いは自分たちの中では大きいですし、リアルのライブはそれが当たり前ではあるもののバーチャルでそういう経験はなかったので慣れない感覚でしたね。

──YAMADAさんは多くのアーティストが参加するメタバース音楽イベント『AWAKE24』など、アーティストとして演奏するだけではなくイベントの運営もされていますが、そういう運営側の観点だと有料イベントについてはどう考えていますか?

『AWAKE24』などのイベントは、バーチャルでの音楽文化が発達するための下地をつくる気持ちで企画・運営しています。

ただ、アーティストが活動を続けるためには商業化が必要になると思っていて「収益を得て活動の領域を広げていく」というのはそういう文化の下地があるだけでは生まれません。なので、商業化の第一歩として有料ライブが開催できるのはすごく良いことだと思っています。

ですが一方で、「有料ライブができます」だけでは、音楽の文化は育っていかないと思っていて「バンド同士がライバル視して高め合っていく」という文化の地盤みたいなものはユーザーが頑張ってつくっていく必要があると思うんです。

なので、有料ライブはそのようなユーザーが生み出した文化の先にあって欲しいと思っています。Cluster LIVE MUSIC CLUBがそういう存在になれば 、どのプラットフォームで生まれた音楽文化というのはそんなに関係ないと思っているので、より色々な人が使うような仕組みになると良いですよね。

──我々としてもプラットフォーム間を気軽に行き来して、必要に応じて有料イベントに挑戦してもらえるような環境になると良いと思っています。

VRChatの音楽の文化だからVRChatでしか演奏しないという風にこだわってもしょうがないと思いますし、VRChatの音楽文化で育った人がclusterで有料のバーチャルライブをするようになると、新しい関わりが生まれて良いのではないかと思います。

Cluster LIVE MUSIC CLUBでのライブの1シーン

──clusterでワンマンライブをするのははじめてでしたよね。

そうですね。
自分はclusterの住民ではないこともあって「これはもしかしたら『他人の家に土足で上がってライブします』って言っているようなものではないのか?」と思って、有料ライブ前にcluster公式ロビーで弾き語りをしたりしていました。

普段VRChatで活動しているからこそclusterの方たちに受け入れてもらうためには、ちゃんと日常的な場所で活動することで文化の一部になる努力をしていました。

clusterの公式ロビーでは、ユーザーが演奏できるスペースを用意している。多くのユーザーが訪れる場所のため、知ってもらうきっかけづくりの場所として使われている。

──なるほど。確かにclusterでは、公式ロビーで路上ライブなどが行われる文化があるので、そういう場所で宣伝を兼ねて演奏するのは効果がありそうですね。せっかくclusterでイベントをするならclusterの人たちにも来て欲しいと思う方も多いでしょうし。

実際ロビーの演奏を見て、来てくれた人が何人かいたのでやって良かったなと思いましたね。

あと、普段は全然別のプラットフォームで活動している人が来て、いきなり有料イベントをしても「お金がもらえるからイベントしに来ただけでしょう」みたいに思ってしまう人もいると思うんです。そうではなくて、やっぱり自分たちとしては、ちゃんと文化の一部になりたくてイベントを開催しようと思ったので、そういう想いが少しでも伝われば良いなとは思っていました。

リアルでも、はじめてのライブハウスに出る時って、先輩繋がりであるとか、そのライブハウスの関係者に目を掛けてもらっていたりとかローカルな文化があってその一部に加わった上で演奏するので、そういうリスペクトのようなものは大事にしたいなと思っています。

──確かにリアルでも、そのアーティストを見にくるだけではなくそのライブハウスが好きで来ている方もいるかもしれませんしね。バーチャルでもそういうことはあるのかもしれません。

Cluster LIVE MUSIC CLUBでのライブの1シーン

──有料イベントを開催してみてどうでしたか。

バンドとしての視点でいうと、やっぱり「お金をもらってる」という意識で演奏するのは刺激がありましたね。

普段、無料ライブを中心に活動していると、悪いライブになっても開き直りができるんですよね(笑)気を抜いているわけでないのですが、「この直前に仕事してたしな」という気持ちになれるので。
ですが、有料イベントでお金を払って来てもらっているから、さすがに開き直りはできないので「ちゃんとやろう」という気持ちで演奏できるところは良かったなと思いました。

──普段のVRChatでのライブと違いを感じたことはありましたか。

意外となかったですね。
なるべくVRChatでイベントする時の雰囲気に近づけようとして、お客さんのマイクをONにできるようにしていたというのも影響してると思います。VRChatから来ている人が結構いたので、普段のclusterのイベントよりエモートの数が少なかったというのはあるかもしれません。

──なるほど。イベントで色々なプラットフォームの人が入り混じっていた、というのが良い話ですね。

お金をもらう側の人間が言うことではないのですが、普段お金を払いたいのに無料で見るしかないと感じていた方々がギフトを投げてくれたり、お金を払ってライブを見ることができて嬉しそうでしたね(笑)

──「払わせてくれ」ですね(笑)

金額の多寡に貴賤はないと思うのですが、たくさんお金を払ってくれる人がアーティストの活動を支えてくれているという面はあると思うので、最低限それをできる仕組みがあるのは、やっぱり嬉しいですね。

Cluster LIVE MUSIC CLUBでのライブの1シーン

──バーチャルイベントの魅力や可能性はどのように考えられていますか。

リアルのライブと比較すると「仕事の後にライブできる」「移動しなくても家で見ることができる」といった、月並みかもしれませんが、そうした手軽さがバーチャルライブの魅力だと思います。ライブというよりはメタバースそのものの良さと言えるかもしれませんが。

──手軽さという点で見ると、動画配信での演奏などとはどういう違いがあると思いますか。

ヘッドマウントディスプレイを介してではありますが、やはり「目の前で人が動いている」という感覚は、単にディスプレイで視聴する時とは熱狂の度合いが違うなと思います。

「目の前に演奏している人がいるんだ」「応援してくれている人がいるんだ」とお互いを認識しながら熱を交換し合えるのは動画以上の情報量をやりとりできる感覚があって、メタバースならではの良い点だと思います。

──JOHNNY HENRYはリアルのライブでも演奏されていますが、リアルライブとバーチャルライブについてはどのように考えていますか。

リアルもバーチャルも全力でライブをすること自体は変わらないんですけど、まずはバーチャルでハードルが低い無料のイベントで自分たちの演奏を見てもらって、「この演奏を見るためなら金を払えるぜ」と思えたら、リアルライブにも来て熱狂してほしいですね。

バーチャルライブがリアルライブと同等の情報量を持てるようになるのはまだ先のことだと思っていて、現状では、やはりリアルライブの方が伝えられるものが多いですし、お客さんも盛り上がるという面があるので、リアルとバーチャルは二段ロケットのような関係にはなってしまいますね。
ただ、バーチャルには先ほどお話した手軽さのような圧倒的な利便性があるので、結局は使い分けだと思います。

──バーチャルイベントの将来性はどのように考えていますか。

トラッキング技術が発達しない限り、自分たちのような生演奏のバンドのパフォーマンスは進化が難しいなと思っています。

他の可能性で言うと、今後はAIを使ってパーティクルなど演出を開発できる人が増えていくと思うので、色々な人がコラボレーションできる下地がどんどんできていくのではないかなと思っています。
アーティストはアーティスト、演出は演出で……という風にリアルと同じように専門特化して役割分けができるようになってそれぞれの分野で力を発揮できれば、企業のVTuberがやっているような企画に負けないイベントをユーザーでも実現できるようになるのではないかと思います。

その際、アーティストのパフォーマンス自体はAIで代替できない部分なので、AIによる進化は演出の可能性を広げ、良いアウトプットに繋がっていくのではないかと期待しています。

──現在は専門特化しているというよりは、なんでもできる人が多い印象がありますもんね。それは十分すごいことなのですが。

実際に、VRChatではSYNCROOMのPAをする人が現れたり、VJをやる人が出てきたり、そういう専門特化した人が出てきている気がするので、そこからその専門性を持つ人たちがコラボレーションしてすごいものをつくっていくフェーズに入っていくと思っています。
だからこそ、人と人が出会う文化の下地の重要性が増していくのではないかなと思います。

──JOHNNY HENRYの今後の活動の展望はありますか。

この間公開したミュージックビデオは、VRChatで活動する映像作家の人にガッツリ映像をつくってもらったんです。それがすごく楽しかったので、やっぱりコラボレーションは良いなと思いました。

自分たちは、ライブもしたいし映像もつくりたいし……と興味が色々な方向に広がってしまうんですよね。毎回こういう質問を受けるたびにメンバー4人全員が「行けるところまで行く」という風に回答しています(笑)

なので、新しい流れに巻き込んでもらえるよう、最前線に立てるような存在感を出していたいですね。先日のミュージックビデオ制作のような取り組みであったり、面白いことは何でもどんどん試せる立場にいたいなと思っています。

──バーチャルの音楽文化全体に目を向けられているのは、『AWAKE24』などのイベントを企画・運営されているYAMADAさんならではですね。JOHNNY HENRYが今後色々なことに挑戦していくのも楽しみです。今日は、色々とお話いただきありがとうございました!
(2025年10月14日収録)

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